森 清和・有理様 (森農園/群馬県・高崎市)

●どうしてロゴマークのデザインに取り組もうと思ったのですか?

最初は自分たちでラベルやパンフレットをデザインして制作していました。商品を売るためにはブランディングも重要、と必要に駆られていろいろと勉強もしました。でも、お客さんにしっかり訴えかけるようなブランド作りをすることの難しさを痛感していたんです。ちょうど悩んでいたタイミングでファームステッドの相談会が開催されたので、お話しを聞いて、前向きに検討してみようと思いました。

●どうしてファームステッドに依頼したいと思ったのですか?

ファームステッドがデザイン会社の中でも第一次産業の支援を専門に活動しているところですね。いかに商品を売るかというビジネスの部分を考えるだけでなく、生産者のパーソナルな思いや作物自体の価値にも重きを置いてデザインやブランディングの仕事をしている。そこが共感できるし、信頼できると思ったんです。

それに長岡さん、阿部さん自身が現地に足を運んでくれるじゃないですか。風景だったり空気感だったり、その土地に来ないとわからないことって絶対にありますよね。僕ら森農園のコンセプトは「記憶に残る野菜」を作ること。それは倉渕という土地を実際に見て、体験しないとなかなか伝わらないとも思っていたので、僕らにとってはありがたいことだったんです。

●ロゴマークができあがってどうでしたか?

この鮮烈で明るめのターコイズブルーがシンボルカラーとしては予想外で、でも気に入りました。ケープグーズベリーもそうですが、常識にとらわれずにいろいろなことに挑戦してみようと思っていたので。妻も一目で気に入ってくれたようです。

僕らの農園でやっていることや感じていることがそのまま表されているので、これを自分たちのロゴマークとして掲げることができるのが、仕事をする非常に大きなモチベーションにもなっています。

●売上などの数字にあらわれる外的な効果よりも、心理面で内的な効果があるということですか?

はい。ロゴマークを作ってから展示会に出展して東京の有名フルーツ店や高級スーパーとの商談も進んだのですが、それよりも自分の中であらためて「森農園としてやっていくんだ」という強い自覚やモチベーションが生まれたのが大きな出来事でした。

(森有理さま)森農園のアイデンティティという点で、夫と同じ意見です。それまでは、ちょっとふわふわとしていたのが、ロゴマークを作ることでようやく地に足がついたともいえるかもしれません。それから森農園として出荷する商品への責任感も芽生えました。

こういうことには、ただロゴマークをデザインして終わりというだけじゃなくて、長岡さんや阿部さんに相談しながらブランディングについて何年も継続的に取り組んでいるなかで気づくことができました

(「農と食と地域をデザインする〜旗を立てる生産者たち」本文より、一部要約)