書籍第2作「農と食と地域をデザインする 〜旗を立てる生産者たちの声」刊行のお知らせ

これからの農業におけるブランドの意義や必要性をわかりやすく説明し、1次産業をデザインで支援するわたしたちのさまざまな取り組み事例をご紹介した、2016年秋刊行の書籍「農業をデザインで変える〜北海道・十勝発 ファームステッドの挑戦」。


多くの方々より好評をいただいた前作にひきつづき、次回作となる「農と食と地域をデザインする〜旗を立てる生産者たちの声」をこのたび出版いたします。



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タイトル・著者:「農と食と地域をデザインする〜旗を立てる生産者たちの声」

長岡 淳一/阿部 岳 著
発行:新泉社
四六判 224ページ
定価 2,200円+税
発売日
2019年12月13日

書籍紹介
「デザインによって農業や一次産業や地方のイメージを新しいものに変えようと取り組んでいることには、すごく意義があると思いますよ。
まちづくりとか地域づくりと言うと、経済をどうするのか、どうすれば儲けられるのかということばかり考えがちじゃないですか。……経済は目的ではなくて手段、それよりも僕らの暮らし、ライフスタイルの行方を見定めることのほうが大事です。あきらめずに続けていけば、やがて世の中もそういう方向へ向かっていくと信じています。」
――伊東豊雄(本書より)


デザインで何が変わったか、12人の生産者のインタビューを収録。
一次産業とデザインのコラボレーションによってローカルのブランド価値を高める。「農業デザイン」「地域デザイン」で注目を集めるクリエイティブディレクターとアートディレクターの著者が北海道から沖縄まで生産現場を訪ね、ブランディングの実例を紹介する。建築家・伊東豊雄、石坂産業・石坂典子の特別インタビューも収録。


●目次
はじめに


1 尾藤光一 尾藤農産(北海道・芽室町)
次の世代のために農家の所得を上げたい、労働環境を改善したい
お客さんがどのような目で商品を見
ているのかを学ぶ
生産者が好奇心を持って農業を研究し続けること


2 本山忠寛 本山農場(北海道・美瑛町)
「おじいさんの形見の金槌」からはじまったブランディング
消費者に評価されることで農産物が輝いて見えるように
「産地直送」による販売の難しさと可能性
農家の女性たちが生き生きと仕事をするために


3 嶋木正一 ハッピネスデーリィ/嶋木牧場(北海道・池田町)
先進的なブランディングの原風景はアメリカの牧場
信頼関係があるからこそ納得のいくデザインに
さまざまな専門家と組むことで生まれた経営効果
北海道・十勝以外の生産者のためにも力になりたい


4 東原弘哲 東原ファーム(北海道・芽室町)
飼育環境にこだわり、ホルスタイン牛で和牛のおいしさを実現したい
ロゴマークによって売り出し方の方向性が統一され、販路の開拓へ
「十勝ココナッツ牛」ブランドを縦に横に展開したい


5 池下藤一郎 池下産業(北海道・広尾町)
プレミアム冷凍ブランドを立ち上げるまで
水産加工業で地域社会を変え、世の中を変える
漁業の「ストーリー」によって生産者と消費者の一体感を


6 伊藤隆徳 フルーツのいとう園(福島県・福島市飯坂町)
東日本大震災後、起死回生の策としてはじめた商品開発
「国産大粒高級枝付き干しぶどう」をソムリエスタイルで販売
福島の安心・安全、おいしい食品を海外の人にも食べてもらいたい


7 森清和 森農園(群馬県・高崎市)
新規就農者だからこそほかの農家がやらない作物を
ロゴマークをつくることで農園への責任感が芽生えた
消費者と畑の距離を近づける体験を提供したい


8 木内博一 和郷(千葉県・香取市)
この30年で農業のイメージが変わってきた
マーケットのニーズに応える「食材製造業」への転換
「あるべき姿」というヴィジョンを持つ――ブランディングの意義


9 真覚精一 伊豆市産業振興協議会(静岡県・伊豆市)
「水」に対する地元の誇りをブランドコンセプトにしたい
完成した商品をどうやって展開し、販売していくかという課題
重要なのは地域の生産者・事業所の意識が統一されること


10 福池信次 T’s table(徳島県・鳴門市)
デザインを用いた情報発信や売り方のスタイルが定まっていなかった
地元の特産品に洗練された高級感を求める層に向けて
OEMによる徳島発の地域ブランディング・プロジェクト


11 堀口大輔 和香園(鹿児島県・志布志市)
日本人のお茶離れに対する危機感からブランディングへ
従来の和風の世界観から離れるためにデザインで差別化を
今後は社内外のコミュニケーションを深めることが重要に


12 小田哲也 みやぎ農園(沖縄県・南城市)
ばらばらだった商品群のデザインやコピーを統一のイメージにしたい
社内で意見を出しあう中で農園の方針を整理する機会に
持続可能で循環型の農業へ――人づくり、産地づくりの一環としてのブータンの農業支援

 


●特別インタビュー1 伊東豊雄(建築家)
東日本大震災後、地方にある人の暮らしを見つめるように
建築の仕事と、まちづくりや農業とのかかわり
自然とつながり、経済がすべてではないという考えが社会を変える

●特別インタビュー2 石坂典子(石坂産業)
廃棄物を扱う会社がオーガニック農園をはじめた理由
「環境教育」というテーマを掲げて農業生産をおこなう
ブランディングを通じて「地域」への意識が変わる
社会の根本的なところを正す「ファームビジネス」とは

あとがき


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第2作目となる本書では「なぜ農業にデザインが必要なのか」というテーマのもと、弊社クリエイティブディレクター長岡・アートディレクター阿部と、全国各地の1次産業に携わる生産者の方々、関係者の方々とが対談。デザインを行うに至った経緯や、実際に導入してみての変化など、余すところなく語っていただきました。


また今回はなんと、世界的建築家の伊藤豊雄氏、石坂産業の石坂典子氏との特別対談も実現。これからの第一次産業とデザインとの関わり方について、さまざまな視点から考える内容となっています。


全国書店、ネット書店にて発売。

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